ヨガから得られる真の効果
「ヨガ」というと、ほとんどの人は即座にカラダをリラックスさせたり、柔軟にしたりするためのポーズを思い浮かべるでしょう。
ですが、カラダへの効果というのは、ヨガの1つの側面にすぎず、ヨガの本当の意味というのは「心の科学」心が変化していくことこそが、ヨガから得られる真の効果、ヨガの真髄なのです。
心の科学 ラージャ・ヨガ
わたしたちは誰でも、自分自身の心についてよく知りたいと思っている反面、自分の心に振り回されます。
「心とは何だろう?」「意識とは何だろう?」
自分の心や意識について理解をすれば、心をコントロールすることができるようになるのだろうか?
このように考えて、自分の心を研究していたのが、古代のラージャ・ヨギたちなのです。
単にヨガといったとき、伝統的には心の科学「ラージャ・ヨガ」のことを指します。ラージャ・ヨガは、まるで科学者のように心を探求するヨガです。
パタンジャリのヨーガ・スートラ
「ヨガ・スートラ」は、ラージャ・ヨガの原典と言われています。
「ヨーガ・スートラ」は、インドの有名な経典で、偉大な聖者パタンジャリによって編纂されたため、一般的に「パタンジャリのヨーガ・スートラ」と呼ばれることが多いです。
「編纂」という言葉が使われるのは、聖者パタンジャリが「ラージャ・ヨガ」を”発明“したのではなく、すでにインドに存在していた思想や行法について、わかりやすく言葉にまとめたためです。
パタンジャリがどの時代の人物だったのか、「スートラ」の成立年代についても、はっきりとは知られていません。紀元前5000年から紀元後300年くらいまでと諸説いろいろとあります。
「ヨーガ・スートラ」の攻略本「インテグラル・ヨーガ」について
つまり、「ヨーガ・スートラ」を読むことで、心について学ぶことができるわけですが、パタンジャリの「ヨーガ・スートラ」の原本をそのまま読み解くことは、わたしたちにとってはおよそ不可能なことでしょう!
ですが、人気の経典には、たくさんの解説書というのが出回っていて、わたしの場合は、スワミサッチダーナンダ師の「インテグラル・ヨーガ」という本を読んで「ヨーガ・スートラ」の勉強をしました。
パタンジャリ、そしてラージャ・ヨーガは古代のものであるにもかかわらず、すぐれて現代的である。
インテグラル・ヨーガ p. 15
とてもわかりやすくて、ヨーガ・スートラを学ばれたいかたには、おすすめです!
ヨーガ・スートラの構成とオススメの勉強方法
ここまで、簡単にヨーガ・スートラについて説明をしていきましたが、最後にヨーガ・スートラの構成と、勉強のしかたについての説明をしていきます。
ヨーガ・スートラは、4章で構成されています。そのうち、最初の2章をよく読むようにしてください。
- 1章(51節):上級編
ヨガの定義的なことが書かれています。1章に書かれている内容は、つまりヨガのゴールで、身をもって実現するには、最もレベルの高い内容となっています。 - 2章(55節):基礎編
ヨギとして日々行うべきことが書かれています。(クリヤヨガ、ヨガの八支則 など) 2章に書かれている内容を、日常生活の中で根気強く続けることで、1章に書かれている内容が実現されはじめます。 - 3章(56節):中級編
超能力の話。日常にあまり関係ない。 - 4章(34節):補論編
これからブログで紹介していこううと思っている1章と2章の節をまとめておきます。どれも有名なものばかりです!
ヨガスートラ1章
- 1章1節 ATHA YOGANUSASANAM.
アター(いま) ヨガというアヌシャーサナン(規律)をはじめます。 - 1章2節 YOGAS CHITTA VRITTI NIRODHAH.
ヨガとはチッタ(心・意識)のブリッティ(働き)をニローダ(抑制・コントロール)することである。 - 1章5節 VRITTAYAH PANCHATAYYAH KLISHATA AKLISHTAH.
ブリッティには5種類がある - 1章12節 ABHYASA VAIRAGYABHYAM TANNIRODHAH.
心は、アッビャーサ(練習)とヴァイラーギャ(無執着)によって、コントロールが可能となる。 - 1章33節 MAITRI KARUNA NUDITOPEKSHANAM SUKHA DUHKHA PUNYAPUNYA VISHAYANAM BHAVANATAS CHITTA PRASADANAM.
心の清澄を保つには、他者の幸福を喜び、不幸をあわれみ、徳(=立派な人を見たら)を尊敬し、不徳(=素行が悪くどうしようもない人)には無関心でいること。
ヨガスートラ2章
- 2章1節 TAPAH SVADHYAYESVARA PRANIDHANANI KRIYA YOGAH.
ニヤマのうち、タパス・スヴァデャーヤ・プラニダーナの3つは、毎日行うことで、クリヤ(心の浄化)を助ける。 - 2章29節 YAMA NIYAM ASANA PRANAYAMA PRATYAHARA DHARANA DHYANA SAMADHAYOSHTAV ANGANI.
ヤマ、ニヤマ、アーサナ、プラティヤハーラ、ダーラナー、ディヤーナ、サマーディがヨガの八支則である。 - 2章46節 STHIRA SUKHAM ASANAM.
アーサナはスティラ(快適)でスッカム(安定)したものでなければならない。
まとめ
- 心へのポジティブな変化こそがヨガの真の効果。
- 心を研究して、心をコントロールしようとするヨガを「ラージャ・ヨガ」という。
- ラージャ・ヨガの経典は、「パタンジャリのヨーガ・スートラ」
- ヨーガ・スートラを学ぶことで、心を理解し、コントロールできるようになる。
- ヨーガ・スートラは4章(196節)から構成される。
- 上級編である1章と基礎編である2章を中心に勉強をされると良いです。
- 1章と2章の中でもそれぞれ特に有名な節をまとめているので参考にしてください。
次回は、ヨーガスートラ2章46節「スティラ スッカム アーサナン」ヨガアーサナの定義について学んでいきます!
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