ヨガの呼吸と日常の呼吸、なにが違うの?
ヨガをしていて、こんな風に疑問に思ったことのあるかたはいますか?
これは、わたしがヨガ講師をしていて、よくいただく質問の1つになります。このご質問にお答えしつつ、後半では、太陽礼拝を例に「ヨガは動く瞑想法」であることを説明できればと思います。
呼吸を理解することの重要性
呼吸は24時間行っていて、その呼吸(日常の呼吸)とヨガの呼吸、なにが違うのかと言われると、疑問に思ったことはなくても、明確に説明できないかたが多いのではないでしょうか?
「ヨガの呼吸」について正しく理解をしておくことは、長い目でみて、ヨガの上達にも関係してきます。この記事で「日常の呼吸」と「ヨガの呼吸」の違いを明確にしていただければ幸いです。
「無意識」の呼吸と「意識的」な呼吸
「日常の呼吸」と「ヨガの呼吸」の違いは無意識に行われている呼吸なのか、意識的に行われている呼吸なのかです。
- 日常の呼吸:無意識に行われている呼吸
- ヨガの呼吸:意識的に行われている呼吸
呼吸は呼吸
「日常の呼吸」も「ヨガの呼吸」も、呼吸は呼吸。どちらも酸素を吸い入れて、二酸化炭素を吐き出します。
寝ている時、食べている時、仕事をしているときの「日常の呼吸」は、自律神経が深く関わっていて、意識をしなくても自動的に行われています。
わずかにですが、息を吸うときには交感神経が働きやすく、息を吐くときには副交感神経が優位になります。
わたしたちが日常生活で意識をしているのは、仕事だったり、食事だったり、話している内容だったり、外側の対象になりますので、吸う息も吐く息も無意識に自動的に行われています。
また、ヨガをしているときだとしても、全く関係ない考えごとをしていて、呼吸に意識が向けられていない状態であれば、日常と同じ、無意識な呼吸になっているはずです。
「ヨガの呼吸」というのは、そういうことではなく、意識が呼吸に向けられている状態のときの呼吸(=意識的な呼吸といいますね)のことを指します。
「意識的な呼吸」について
では、なぜヨガのクラスでは呼吸が意識的になるかを説明します。
ヨガでは、身体的な動きに、呼吸を合わせてヴィンヤサ(呼吸と動きの連動)で動いていきます。
ヴィンヤサ(Vinyasa)=呼吸と動きの連動
vi…行く、うごく、心に抱く、特別な方法
niyasa…置く、植える、配置する
そのため、手をあげる動作は、吸う息で行われ、手を下げる動作は吐く息で行われます。これら1つ1つの動きと呼吸を合わせるために、意識は呼吸と身体の動きに向けられれています。
呼吸の長さについて
また日常の呼吸は、どこまで吸って、どこまで吐くか、なども特に意識はされず、自然に無意識に行われていますが、ヴィンヤサヨガで動いているときは、その動きの始点から終着点まで、1つの呼吸が続き(吸う息、もしくは吐く息)、次の呼吸(吐く息、もしくは吸う息)は、次の動作に移行するタイミングで始まります。
そのため、どこで吸い始め、どこで吐き始めるのか、といった呼吸の長さやタイミングについても意識的にコントロールされている状態となります。


もっとも代表的なヴィンヤサシークエンスは太陽礼拝=動く瞑想法
「太陽礼拝」とは、呼吸に合わせて12のポーズを連続して行うヨガの代表的な動きです。太陽への感謝を表す「一連の動作」として行われ、心身をスッキリさせ、柔軟性や血行促進、集中力の向上などの効果が期待できます。

イラストでご覧いただいてもわかるように、1つの動きに1つの呼吸が対応しています。これをカラダで覚えて、考えなくても呼吸に合わせて動いていくことが可能なとき、「思考」はしていないけれども、「意識」は呼吸とカラダの感覚にある状態となります。
これが、ヨガが「動く瞑想」と言われる理由になります。
まとめ
- 日常の呼吸は無意識、ヨガの呼吸は意識的に行われる
- 呼吸が意識しなくても行われるのは自律神経によるはたらき
- ヴィンヤサ(呼吸と動きの連動)によって、呼吸が意識化される
- ヴィンヤサで動く時、呼吸の長さもコントロールされる
- 太陽礼拝では1つの動きに1つの呼吸が対応している
- 考えなくても、呼吸と動きが連動し、意識がカラダの感覚にあるとき、それは「動く瞑想」となる

